2004年09月05日

恍惚(トランス)状態の脳はいいのか

2年以上昔の話になるけれど、TVでTranceの特集をやっていたことがありました。ちょうどそのころは、浜崎あゆみのRemixなどで、巷に「トランス」なるモノが広まってきていたころ。
その特集は、単にTranceの紹介をしてたわけじゃなくて(それだけだったらとっくの昔に内容忘れてます)、Tranceを聴いてるときに出る脳波の分析、というやや科学的な話をしてたんです。

そんなことをちょこっと思い出し、恍惚状態はイイのかワルいのか、気になりました。
 
●Tranceを聴くとβ波がよく出る
 
その番組では、対照実験として、被験者に二つの曲を聴いてもらい、それぞれの曲を聴いてる最中の脳波を測定していました。
一曲は浜崎あゆみの「Depend on you」(『あなたがもし旅立つその日がいつか来たら そこからふたりで始めよう』ってやつです )、もう一曲は同じく「Depend on you」のSvenson & Gielen Remix。S & GらしいRemixです。
 
さて、被験者の脳波ですが、通常の「Depend on you」を聴いてるときに比べ、TranceのRemixを聴いているときの方が、格段にβ波の量が増えている、そんな結果でした。
 
●α波・β波って何?
 
ところで、α波だのβ波だの言われても勉強不足の私にはさっぱりなので、少し調べてみました。
 
まず、心身ともに極めてリラックスした時に、人間はα波(8-13Hz)状態になると。このとき、β-エンドルフィンなる、ストレスを低減させる機能を持つホルモンが脳内に分泌され、脳の活性化を促し、体の免疫力を高めてくれるそうです。
対して、不安になったり、緊張したり、意識が分散・ストレス状態にあるとき、人間はβ波(14-25Hz)状態になると。このとき、ノルアドレナリンやアドレナリンなどの興奮性ホルモンが分泌される。これらのホルモンは毒性があるため、病気になりやすくなるそうです。
 
まぁ、素人目に見ても、α波は体に良くて、β波は体に良くない、ということは理解できました。すなわち、短絡的ではありますが、Tranceを聴いている状態は、あまり長時間聴いているのは体によろしくないようです。
 
リラクゼーションには「α波が出ているのがいい」なんて話はよく聞きます。巷で売っているヒーリング系音楽も、α波が出るような自然に近い音が使われているようです。流行語にもなった『癒し』はα波の出ている状態でしょう。
 上で調べた結果だと、「α波は善玉、β波は悪玉」というような認識が多くの人の中であるようでした。果たして、これは本当かと。
 
確かに、脳が常に緊張している状態は、リラックスできないでしょう。事実、あるジャンルのTranceを聴いているときは、アルバムを一枚聴くだけでも相当体力を要するようなこともあったりします。疲れる音楽って一体何なの…。なら聴かなきゃいいのに、、、という意見もあるかもしれません。
 
●ブレイクとβ波の関係
 
ここで、少し前提に戻ってみます。
 Tranceを聴くとβ波がよく出るのは何故なんでしょうか。もちろん、いわゆるTrance以外にもβ波が出やすい音楽はあるでしょうし、個人差もあるはずです。直感的に考えてみます。
 
Tranceの特徴としてよく挙げられるのが、『ブレイク(Break)』と呼ばれるもの。口で説明するのは難しいんですが、一般的には「通常メロディーの進行において、音数が徐々にフェイドアウトして極めて少音状態が続いた後に、通常メロディーより数倍音数のあるフレーズがドッと来る」といったパターンのものです。よく使われるのは、メロディーの途中で突然ピアノソロになり、また様々な音の混合したメロディーに復帰する、といったパターンです。
 
思うに、このブレイクがβ波を出す要因となっているのではないか。
通常メロディーが淡々と続いている状態では、普通の人はあまり緊張しないはずです。自然とメロディーに身を任せられるからです。逆に、ブレイクがあるTranceの場合、次にどんな音が来るか分からない。そんな予定調和から外れた状態では脳も落ち着かず、緊張状態になってしまうのでしょう。これがTranceを聴くことによってβ波が出やすい理由なのでしょう。
 
●β波は痴呆にキク?
 
 ところで、β波は体によくないことは繰り返し説明しました。
しかし、β波も何かいいことは無いのか、さらに調べてみました。
 
そうしたところ、数年前にベストセラーになった『ゲーム脳の恐怖』の著者で日大教授の森昭雄氏によると、「痴呆症の患者は前頭前野が働かなくなる。前頭前野の脳波の活動を示すβ波も低かった」という結果が得られているようです。
 
 
この結果が事実だとすれば、「常日頃からβ波がよく出ていれば、痴呆症になりにくい」ということも言えるのかもしれません。拡大解釈すれば、Trance聴いてればボケないよ、ということでしょうか。
(ただし、森教授の説には反論も少なくないのが実情のようです。
 
●まとめ - Tranceの効用
 
そんなこんなで、Tranceという音楽を少し科学的に(?)探ってみました。個人的にはβ波のプラス点もマイナス点も見つけることができて、面白かったです。
とは言え、常に興奮状態にあるというのもヤバイですね。最近はまったり系のTranceが好きで、それほど激しいのは聴いてないんだけどな。。でも、Trance自体は中毒性があるようで、なかなか止められずにいます。この中毒性の謎についても、いつか話してみたいと思います。
 

(注)
今回の考察で用いている脳波に関する諸説明は、現在一般的な通説となっているものですが、以下のwebサイトでも「α波神話はすでに崩壊した?」と書かれている通り、脳神経科学の分野でも見解が分かれているようです。
 
posted by chinon at 00:29| Comment(2) | TrackBack(0) | Musik | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「恍惚」は私のブログのタイトルにも使っていますが、こんなに奥が深かったんですね(^^;
β波は一般認識としてあまりよろしくないという話は聞いていました。ただ今回のアーキテクトを見て、当然プラスになる面もあるということがわかり、それが逆にタメになりました。
Posted by GO! at 2005年07月17日 14:58
とは言っても止められないのがtranceなんですよねー。
アル中ならぬトラ中?(苦笑)

そう言えば、以前のAndy MoorのMixは無事聴けました??
リンク先をクリックすればReal Playerが立ち上がって…のはずなんですけれど。音楽ファイルの再生ソフトをいろいろ関連付けしているとムリかもしれません。一応、私の環境だと、Winampでも可能でした。
Posted by chinon at 2005年07月17日 22:16
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